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2007.12.31 Mon 21:38:49
ズルズルとジュースを啜る音が店内の一角に響き、次いでコップの氷がカラリと如何にも涼しげなそれが鳴った。
飲み干されたオレンジジュース、の中に入っていた氷をがりがり噛んでいるのは友人の神崎直で、その様子はまるで子ども。けれど、薄い紅のついたストローを拭う仕草が妙に艶やかで、千佳は軽くため息をついた。
コイツもとうとう女になったか…。
保護者のように生暖かい目でそれを見るともなく見つめていた千佳だけれど、ふと徒心が湧き上がる。
カマ、かけてみるか。
この素直でバカ正直な子のことだから、直ぐにボロをだすだろう。なんといっても私はつい先日恋人と喧嘩したばかりで、少し鬱憤を晴らしたいと思っていたところ。この子には悪いけれど、犠牲になっていただきましょう。
直を真似て、ストローの先端を指で拭う。直のものよりも少し濃い色が、指についた。
カラン、氷が溶けて、場所を変える。
「直さあ、男出来たでしょ」
白状なさい、判ってるんだから。
あんたのこと全部、そんな目をしてやれば、直は簡単に狼狽…せずに、何のことだからわからない、という表情を向ける。男、という表現がいけなかったのだろうか?
「…?」
今度は言葉を変えて訊いてみる。
「あーだから、彼氏よ。カレシ。恋人」
キョトンとした表情は変わらない。ドアのきしむ音。それがまるで合図のように顔が赤くなる。本当に鈍い。
「え、ちが、秋山さんはそんなんじゃなくて、えっと…」
聞いていない名前まで教えてくれる辺り、本当に素直だ。どうやら、片思いらしいと判断して、さらに追究の手をのばしていく。
「へぇ…秋山さんていうんだ?カッコいい?」
「うん!」
この、神崎直という子の「カッコいい」は、人とは少しずれている。誰がカッコいい?と訊いて、あの人が格好良い、と指さされた場所に居たのがおっさんなんてことも珍しくない。ので、訊いてみることにした。
「どのくらい?」
「えっと…うーん…と…あ、あの人みたいな感じ!」
指された方向を見ると、ラフな格好に身を包む一人の男。確かに、後ろ姿はカッコいい。『後ろ姿』は。
「…顔、見えないんだけど?」
「背中の雰囲気とか」
「ふーん」
「あ、秋山さんからメールだ」
「どれどれー?」
「あ、ちょっと…!」
「んー?『大正解』?なにこれ?」
@@@@@
「あああああ秋山さん!」
「…何?」
「あの、私、わかっちゃいました!」
「何が…?」
「だから、えっと、出来ちゃったんです!」
「はぁ…?」
「彼氏です…!」
「…そりゃあ、おめでとう…」
「同じ講義とってる人なんですけど、すごく優しいんですよー」
「で、今日はそれを報告するために来たわけ?」
「いいえ」
「違うの?」
「はい、出来たのは、一週間くらい前ですから」
「…じゃあ、何しにきたんだ…?」
「別れた報告に来ました!」
「おいおいおい」
「恋人は出来たし、その人、本当に優しいし、私を第一に考えてくれるんです」
「でも、別れたんだろ?」
「はい」
「何故?」
「…一緒に居て、楽しいと思えなかったんです…。すごく、すごく一途で、私を好きでいてくれるのは判るんです。だけど楽しい、ずっと一緒に居たい、とは、思えなかった…それって失礼じゃないですか」
「でもまあ仕方ないんじゃないか?」
「…」
「…まだ、続きがあるんだろ?」
「私、それじゃあずっと一緒に居たい、楽しい、って思う人って誰だろう、って思って、私気がついたんです」
「誰?」
「秋山さんです」
「そう」
「秋山さん、迷惑ですか…?」
「…バカ正直で、他人を思いやることしか知らなくて、自分は二の次三の次。大抵一人ではどうしようもなくなって、最後に頼るのは俺。正直、迷惑極まりない」
「…ですよね…」
「でもまあ…それが俺がキミを好きな理由の一つでもある」
「秋山さん…」
「それにしても、キミにつきあっていると心臓がいくつあっても足りないな…」
いつぞやのネタ
飲み干されたオレンジジュース、の中に入っていた氷をがりがり噛んでいるのは友人の神崎直で、その様子はまるで子ども。けれど、薄い紅のついたストローを拭う仕草が妙に艶やかで、千佳は軽くため息をついた。
コイツもとうとう女になったか…。
保護者のように生暖かい目でそれを見るともなく見つめていた千佳だけれど、ふと徒心が湧き上がる。
カマ、かけてみるか。
この素直でバカ正直な子のことだから、直ぐにボロをだすだろう。なんといっても私はつい先日恋人と喧嘩したばかりで、少し鬱憤を晴らしたいと思っていたところ。この子には悪いけれど、犠牲になっていただきましょう。
直を真似て、ストローの先端を指で拭う。直のものよりも少し濃い色が、指についた。
カラン、氷が溶けて、場所を変える。
「直さあ、男出来たでしょ」
白状なさい、判ってるんだから。
あんたのこと全部、そんな目をしてやれば、直は簡単に狼狽…せずに、何のことだからわからない、という表情を向ける。男、という表現がいけなかったのだろうか?
「…?」
今度は言葉を変えて訊いてみる。
「あーだから、彼氏よ。カレシ。恋人」
キョトンとした表情は変わらない。ドアのきしむ音。それがまるで合図のように顔が赤くなる。本当に鈍い。
「え、ちが、秋山さんはそんなんじゃなくて、えっと…」
聞いていない名前まで教えてくれる辺り、本当に素直だ。どうやら、片思いらしいと判断して、さらに追究の手をのばしていく。
「へぇ…秋山さんていうんだ?カッコいい?」
「うん!」
この、神崎直という子の「カッコいい」は、人とは少しずれている。誰がカッコいい?と訊いて、あの人が格好良い、と指さされた場所に居たのがおっさんなんてことも珍しくない。ので、訊いてみることにした。
「どのくらい?」
「えっと…うーん…と…あ、あの人みたいな感じ!」
指された方向を見ると、ラフな格好に身を包む一人の男。確かに、後ろ姿はカッコいい。『後ろ姿』は。
「…顔、見えないんだけど?」
「背中の雰囲気とか」
「ふーん」
「あ、秋山さんからメールだ」
「どれどれー?」
「あ、ちょっと…!」
「んー?『大正解』?なにこれ?」
@@@@@
「あああああ秋山さん!」
「…何?」
「あの、私、わかっちゃいました!」
「何が…?」
「だから、えっと、出来ちゃったんです!」
「はぁ…?」
「彼氏です…!」
「…そりゃあ、おめでとう…」
「同じ講義とってる人なんですけど、すごく優しいんですよー」
「で、今日はそれを報告するために来たわけ?」
「いいえ」
「違うの?」
「はい、出来たのは、一週間くらい前ですから」
「…じゃあ、何しにきたんだ…?」
「別れた報告に来ました!」
「おいおいおい」
「恋人は出来たし、その人、本当に優しいし、私を第一に考えてくれるんです」
「でも、別れたんだろ?」
「はい」
「何故?」
「…一緒に居て、楽しいと思えなかったんです…。すごく、すごく一途で、私を好きでいてくれるのは判るんです。だけど楽しい、ずっと一緒に居たい、とは、思えなかった…それって失礼じゃないですか」
「でもまあ仕方ないんじゃないか?」
「…」
「…まだ、続きがあるんだろ?」
「私、それじゃあずっと一緒に居たい、楽しい、って思う人って誰だろう、って思って、私気がついたんです」
「誰?」
「秋山さんです」
「そう」
「秋山さん、迷惑ですか…?」
「…バカ正直で、他人を思いやることしか知らなくて、自分は二の次三の次。大抵一人ではどうしようもなくなって、最後に頼るのは俺。正直、迷惑極まりない」
「…ですよね…」
「でもまあ…それが俺がキミを好きな理由の一つでもある」
「秋山さん…」
「それにしても、キミにつきあっていると心臓がいくつあっても足りないな…」
いつぞやのネタ
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Comments
街の雰囲気じゃね?コンビニやってるわスーパー通常営業だわでエコノミックアニマル一直線。
あと私は大掃除をちまちま分けてやってたし、年末テレビも見なかったし。帰省先雪降らんかったし。(今日は降ったけどね)(霰が)
それでは良いお年をー。
あと私は大掃除をちまちま分けてやってたし、年末テレビも見なかったし。帰省先雪降らんかったし。(今日は降ったけどね)(霰が)
それでは良いお年をー。
。
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