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 普段は真白な広いバスルーム一面、それこそバスタブからタイル一枚にいたるまでが薄紅に染まっている。所々に咲く薔薇、香るワイン。やたらとでかいワインの樽までその調度品の如く鎮座している。バスルームのドアを開けたクイーンは、まるで女子高生のようにはしゃぐ。

「プロディジュー、RD!」

 ワインを派手に注いだバスタブに、クイーンが歓声をあげる。香りを調整していたRDは、誇らしげに言った。

[私の能力をもってすれば、容易いことです]

 人工知能の美学に酔いしれている世界最高の人工知能に、クイーンはほう、と吐息を零す。美貌に破顔されれば、悪い気はしないものだ。瞳をきらきら輝かせる美しい女王を見て、RDが照れる。クイーン、せっかく暖かくしてあるんです。早くはいってみて下さい。
 急かすRDに、クイーンは、組んで頬に当てていた両手を下ろした。ちょっと待っててくれ。

[クイーン?]
「ジョーカー君を呼んでくるよ」

 パタパタとトレーニングルームへ駆けていくクイーンに、RDが息を吐く。しばらくして、バスルームのドアが開いた。トレーニング真っ最中に連れてこられたジョーカーは、素肌の半身を晒している。中国服はクイーンに握られ、その腕も絡めとられる姿は迷惑オーラを醸し出す。対照的に、クイーンは雰囲気を出すためだろうか? アンジェリク・フォン・ペリゴール伯爵夫人に変装して、楽しげだ。

「どうだい? RDの作品だよ。素晴らしいと思わないかい?」
「素晴らしいと思います。どうぞあなたはこの作品に身を泳がせて下さい」

 僕は、トレーニングに戻ります。ああっだめだよ!

「一緒に入るんだよ、ジョーカー君」

 あらがう身体をバスルームに押し込めば、声がした。なんで僕があなたと入るんですか! たまには、いいじゃないか。ジョーカーだけを押しやってイブニングドレスを床に落としたクイーンは、やはり上機嫌だ。
 中から見えるのは、すりガラスを通したモザイクのようなシルエットで、けれどそれだけでクイーンのスタイルの良さは見て取れる。厳密に言えばそのスタイルは、クイーンの変装したアンジェリク・フォン・ペリゴール伯爵夫人なのだけれど、間違いではない。どうしたって中身はクイーンなのだから。

「ジョーカー君、入るよ」

 ドアが開くと、白の肢体が滑り込む。滑らかな肌に、ジョーカーが一度息を飲んだ。


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タイトルにびびったじゃないか
黒田幹夜 2008/05/13 (Tue) 12:38:39 EDIT
たどり着いてくれよ(´・ω・`)


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