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 クイーンに猫の尾と耳が生えてから、三週間がたった。元々の性格が猫のようなものだから、特別変わったことは無いのかもしれない。くあーっと欠伸をしたクイーンは、ソファでゴロゴロとしている。ただ、最近違うことと言えば、一つだけ。

「あーるでぃー」

 間延びした声で、電子アイを見つめる。

[なんですか?]
「ジョーカー君はー?」

 とろんとした目つきはまるで、酒によったときのようだ。ジョーカーくーん、としきりに呼んでいると、船室のドアが開いた。

「ジョーカー君っ」
「トイレくらい行かせて下さい…」

 飛びつくクイーンを宥めて、ソファに腰を下ろす。その膝にすり寄るクイーンの髪を撫でてやれば、如何にも気持ちよさそうに瞼を閉じた。

[ジョーカー、何かのみますか?]
「いや、ありがとうRD」

 クイーンが片目を開いて、RDを睨めつける。RDが半ば呆れたように、呟いた。

[心配しなくても、ジョーカーをとったりしませんよ]

 元来甘えたがりのクイーンだけれど、最近のそれは異常な程だ。しかも、相手はジョーカーに限定される。RDは無言の圧力を受けて人間で言えば苦笑いだ。というのも、いつものクイーンは気に入らないことがあるとウィルスをシステムに混入させるけれど、今のクイーンはただ、睨みつけてくるだけ。可愛いものだ。RDに実害は無い。ジョーカーが普段よりも鬱陶しそうに見えるが、自分の身が大切なのは世界最高の人工知能だって変わらない。
 クイーンが立ち上がった。尻尾が、ジョーカーの腕をとらえ、直ぐにはなした。薔薇の薄い香りが舞う。


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