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 ある、人里離れた森の奥。動物すら近付かないような場所の、崖の上に、まるで天空に浮かぶラピュータのような城があった。名前は、トルバドゥール。もっとも、その名を知っているものなど極僅かだ。その城に住む者を知っているのも、また然り。主は名を、クイーン、と言った。天に一番近い城に住むクイーンを知るものも、その性別は解らない。今では、クイーン、という呼び名以上に通る名をつけられている程だ。悪魔、天使、どちらも、確かにクイーンには似合うのだろう。

 ベッドからむくりと起き上がったクイーンは、鏡をコンコンと叩く。程なくして、鏡の向こう、ではなく天井から、機械の合成音がした。

[何ですか、クイーン?]
「やあ、RD。ちょっと訊きたいことがあるんだけどね」

 ボスン、とキングサイズのベッドに座り込む。舞う薔薇の香り。クイーンが微笑む。

「わたしは、結構色々なところから、宝石や絵画を盗んだね」
[そうですね]

 部屋に置かれる調度品、宝石や絵画、それらは、クイーンが盗み出したものだ。予告状を出し、怪盗の美学に沿い、美しく。予告状を出しているくらいだから、クイーンの知名度自体は相当なのにもかかわらず住処を特定されないのは、偏にクイーンの使う蜃気楼の術の効果だ。
 クイーンは満足気に頷いた。

「では、この世界に、わたしに盗むことの出来ないものはあるかな?」

 RDは一度沈黙する。あるんだな。クイーンは微笑んだ。

「それは、何だい?」
[いえ、正確には、ものとはいえないんですが…]
「言ってごらん」

 鏡に、地図が映された。続いて、トルバドゥールから少し離れた森の中の様子。聞こえる音は鮮明で、鳥の囀りも響いている。その中で、最も鋭い音を放つ、何か。それに、映像が近づいた。男が一人、正拳突きをしている。

「彼は?」
[ジョーカー、年齢は二十歳前後で趣味は読書。家族構成は不明です]


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