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どうしたって叶わないのなら、これを恋として望んだってかまわないはずだろうよ。

目の前でイチャつくな。腹が立つ

伸ばしてきていた手を悉く振り払って、気がつけば幾年月が過ぎ去っていた。過去こそ振り返らないけれど、その過去を振り返らなければ己の間抜けさ加減に収集がつかないことも、また振り返ったところでこの自分の居ない間に積み上げられた不自然なほど自然な関係が崩れないことも、サスケは知っている。
知っているからこそ突きつけられた二択、自己嫌悪と自己崩壊の二択のどちらも選ぶことなく見出した三択目の自己抑制である。どこまでいっても結局自分のせいであることは嫌と言うほど解っているけれど築き上げられた行きし過ぎた友情だか屈折した愛情だかに嫉妬するくらいは赦していただきたい。過去を悔やむわけではないけれども、だ。

俺はお前を愛していたのに。

そんな恨みがましいこと、死んでもいってなどやりはしない。望んでもいないだろうからな。ただ、過去に愛していたことは知っておいてくれ、と、こちらは女々しいな。嘆息したところで、目の前の有害者達は聞く耳持たず、であるわけだけれども。
さて、では、この浄化も昇華もされなかった想いに名前をつけるとしたらなんだろうか。
ああ、くそったれ。

「どうしたの、サスケくん百面相よ珍しい」

どうしたのもこうしたのもねえよ、心で悪態をついて言葉にするのは『ああ』の一言。馬鹿馬鹿しいな。こんな会話すら、なんだか懐かしく感じるだなんて。

「あ、サクラちゃん、サクラちゃん、前に教えてもらったリンゴのパイさ、こないだ作ったってばよ」
「おいしくできた?」
「すっげー甘くて、旨かったってば」

恋乞いし愛与いし。
浄化も昇華もされなかった想いに名前をつけるとしたら、これは恋で良い。欲するだけだ。与えることなどままなるものか。叶わないのが解っている。見返りを求めるわけではないけれど、一方的なこれはまさしく、恋だ。そんなことは理解できている。

「ウスラトンカチ…」

転げ出た言の葉に、ナルトが吠えた。なんだってばよ、お前それはあれじゃないか。それを代名詞として認可していると公言しているようなものじゃないか。サスケにしてみればそれは理解できているくせにまるで未練丸出しの自分に言った言葉で、それに反応を返される、なんて、止めてくれ、嬉しくなってしまうから。

「サスケくん、渡さないから」
「なにを、だ」
「この位置を、よ。渡さないから」

ニコリと微笑まれて、それが宣戦布告と気付く。渡さないから。

「しばらくは、そうね、アップルパイで繋ぎ止めておけるわね」

ああ、笑顔が綺麗だ。馬鹿か。サクラ、そんな顔をするな。恋、をして、しまうから。

「サスケくんは惚れやすいのよね」
「え、お前、好きな人居るんだってば…!?」
「サクラ」
「あら良いじゃないの」


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