勇者で救世主のあなたと、姫で精霊で悪で話人のわたしの矛と盾。

あなたには命令を下す権利はない。けれど、あなたには命令を下す義務がある。わたしはあなたに付き従う義務はない。けれど、わたしにはあなたに付き従う権利がある。わたしには幸せになる権利はなく、あなたにはわたしを幸せにするという誓約がある。わたしにはあなたが誓約を破った時、あなたを殺せと命が下っていて、あなたが死ねば世界は滅びる。わたしが幸せになってはいけない理由は、わたしがあなたの両親を殺したからで、あなたはそれを知らない。知らないままではわたしはあなたにどれほど幸いを貰っても幸せにはなれず、それではわたしはあなたを殺すことになってしまう。命に背けば、わたしは死に、わたしが死ねば、等しく幸せになれなかったという終焉。あなたに言えば、両親の敵をうつというあなたはわたしを殺すことになる。そして、世界は終幕。あなたは世界を救わなければならない。あなたは勇む者であり、あなたは救世主である。そしてわたしは姫で、この陳腐な物語の鍵を握る精霊で、彩りを黒に染める、この物語唯一の悪。わたしはこの後悔の物語を進める、話人。

あなたには(姫であるわたしに)命令を下す権利はない。けれど、あなたには(精霊であるわたしに)命令を下す義務がある。わたしは(精霊として)あなたに付き従う義務はない。けれど、わたしには(話人として)あなたに付き従う権利がある。(悪である)わたしには幸せになる権利はなく、(勇む者である)あなたにはわたしを幸せにするという誓約がある。わたしにはあなたが誓約を破った時、(父である王から姫として)あなたを殺せと命が下っていて、(救世主である)あなたが死ねば世界は滅びる。わたしが幸せになってはいけない理由は、(悪である)わたしがあなたの両親を殺したからで、あなたはそれを知らない。知らないままではわたしはあなたにどれほど幸いを貰っても幸せにはなれれず、それでは(姫として王の命令に背けない)わたしはあなたを殺すことになってしまう。命に背けば、(悪としての)わたしは死に、(姫である)わたしが死ねば、等しく幸せになれなかったという終焉。あなたに言えば、両親の敵をうつとい
う(勇む者の)あなたは(悪である)わたしを殺すことになる。そして、世界は終幕。あなたは(救世主として)世界を救わなければならない。

矛盾を解き明かせば、そこには、(握られた鍵として)救いがあるのかもしれない。