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2007.11.11 Sun 12:18:52
鮮やかな色色のクレヨンで、画用紙にたくさんの色を塗るの。黒いクレヨンで覆い隠して、それで。
爪で引っかくと、黒のクレヨンだけががりがりと削れた。下に浮かぶ鮮やかな色。それが私よ。そして、アンタよ。
確かに浮かび上がった桜色は正しく少女を映しているようで、その隣にあるのが黄色と青で、囲うのは黒で、だから、ナルトは苦く笑うしか術を持たなかったのだ。だって、まるで馬鹿みたいじゃないか、と思う。何時まで囚われて、いるのか。
「サクラちゃん、俺ってば、・・・・・・俺たちってば、何時になったら大人になれるかな」
「あら、大人になりたいの?私はそうは思わないけど」
「でもいつか、大人になるんだってばよ?それは、自然のセツリってやつなんだってばよ」
わかってるわよ、そんなこと。吐き出された言葉を、ナルトはくすぐったいな、と思った。
クレヨンを握るサクラの手は想像以上に小さくて、幼くて、この手で岩をも砕くのか、と、少しだけ慄いたりした。化粧っ気のない彼女は、そのままで居てくれたらいいと思う。けれど、それこそ、だ。いつかは大人になるんだ。ねえ、サクラちゃん。それはいつの事なんだろうね。
握り締められた黒のクレヨンが、パキリ、と無残な姿になった。あれ、と、ナルトは首を傾げる。サクラの手が。
「サクラちゃん?」
「私たちはいつか大人になるけど、そのために必要な材料が揃ってないような気がしてならないの。ねえ、そうは思わない、ナルト?」
それは、握り締められて折られた黒のクレヨンなんだろう。代わりにもならない、黒のクレヨンなのだろう。
「だね、ってばよ」
桜色のクレヨンと、黄色と青。転がる鮮やかな色がそこにあって、ナルトはふう、と溜息をついた。横にあって然るべきの黒のクレヨンこそ。
「サクラちゃん、俺たちは大人になるけど、大人に、なれるのかな」
「なるんでしょ?なるしかないのよ」
なったときに、私達の隣には、多分もう一人いるのよ。絶対に、もう一人居るのよ。
もう一度、ナルトはサクラの手を見た。さっき幼いと思った掌が、大人びていた。爪が黒く染まってしまっている。ナルトは何の気なしにその手をとると、握られていたクレヨンを取り去って、爪に入ったクレヨンの黒を自分の爪でがり、とやる。サクラが上で笑った。
「ありがと」
「え? あ、ごめん、サクラちゃん」
「いいのよ、ありがとう」
化粧っ気のない掌が、くしゃりとナルトの頭を撫でる。なんだ、くすぐったい。
「ねえ、サクラちゃん、」
大人になる時には、そのクレヨンは。
「ああ、大人になるんだわ」
「大人に、ね」
笑いあうそこに、いつか黒の姿を。
箱に仕舞われたクレヨンは鮮やかなままだった。
爪で引っかくと、黒のクレヨンだけががりがりと削れた。下に浮かぶ鮮やかな色。それが私よ。そして、アンタよ。
確かに浮かび上がった桜色は正しく少女を映しているようで、その隣にあるのが黄色と青で、囲うのは黒で、だから、ナルトは苦く笑うしか術を持たなかったのだ。だって、まるで馬鹿みたいじゃないか、と思う。何時まで囚われて、いるのか。
「サクラちゃん、俺ってば、・・・・・・俺たちってば、何時になったら大人になれるかな」
「あら、大人になりたいの?私はそうは思わないけど」
「でもいつか、大人になるんだってばよ?それは、自然のセツリってやつなんだってばよ」
わかってるわよ、そんなこと。吐き出された言葉を、ナルトはくすぐったいな、と思った。
クレヨンを握るサクラの手は想像以上に小さくて、幼くて、この手で岩をも砕くのか、と、少しだけ慄いたりした。化粧っ気のない彼女は、そのままで居てくれたらいいと思う。けれど、それこそ、だ。いつかは大人になるんだ。ねえ、サクラちゃん。それはいつの事なんだろうね。
握り締められた黒のクレヨンが、パキリ、と無残な姿になった。あれ、と、ナルトは首を傾げる。サクラの手が。
「サクラちゃん?」
「私たちはいつか大人になるけど、そのために必要な材料が揃ってないような気がしてならないの。ねえ、そうは思わない、ナルト?」
それは、握り締められて折られた黒のクレヨンなんだろう。代わりにもならない、黒のクレヨンなのだろう。
「だね、ってばよ」
桜色のクレヨンと、黄色と青。転がる鮮やかな色がそこにあって、ナルトはふう、と溜息をついた。横にあって然るべきの黒のクレヨンこそ。
「サクラちゃん、俺たちは大人になるけど、大人に、なれるのかな」
「なるんでしょ?なるしかないのよ」
なったときに、私達の隣には、多分もう一人いるのよ。絶対に、もう一人居るのよ。
もう一度、ナルトはサクラの手を見た。さっき幼いと思った掌が、大人びていた。爪が黒く染まってしまっている。ナルトは何の気なしにその手をとると、握られていたクレヨンを取り去って、爪に入ったクレヨンの黒を自分の爪でがり、とやる。サクラが上で笑った。
「ありがと」
「え? あ、ごめん、サクラちゃん」
「いいのよ、ありがとう」
化粧っ気のない掌が、くしゃりとナルトの頭を撫でる。なんだ、くすぐったい。
「ねえ、サクラちゃん、」
大人になる時には、そのクレヨンは。
「ああ、大人になるんだわ」
「大人に、ね」
笑いあうそこに、いつか黒の姿を。
箱に仕舞われたクレヨンは鮮やかなままだった。
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