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09 君の幸せが僕の幸せ

私が今を不幸だといったら、貴方達の居ない世界が一番幸せな世界だといったら、貴方達は消えてしまうんだろう。ふとよぎったその思いに、亜莉子はくすりと笑う。私が望まない結果には決してならないのよ、だって、私は、創造主。貴方達を創ったのだから。
「ねえ、チェシャ猫、私は今不幸なの」
「そう」
顎を掻いてやれば、ぐるぐると喉を鳴らした。持ち上げるとそれは確かに生首で、生首でも生きている。それを定義したのは、私だ。幼い頃の、私だ。幸せになる為に生首が必要だったのかしら。かわいそうな小さい私。全て望めば望んだように。
猫は首を切られても生き続け、女王は所構わず鎌を振り翳す。人の首は城の中に飾られて、白薔薇は生き血を好む。私の肉は極上の肉。私は誰からも愛されて、全ての子は私に愛を注ぐ。私が居なければ、死んでしまう。けれど、私が居なくても生きていくことは出来るのね。それがとてつもなく不幸だわ。それすらも、幼い私が望んだ事だとしても。
「私、とても不幸なの」
「アリスはどうすれば幸せになるんだい?」
「わからないわ。私の幸せは一生訪れないのかもしれない」
もう、何が幸せなのかもわからないの、私には。抱き締めた首は苦しいよ、と頭だけでもがく。このまま死んでしまえばいいのにね。
「チェシャ猫、私は歪んでいるかしら」
「アリスが歪んでいなかったら、僕達は生まれなかったよ」
そうね。その通りね。
「ねえ、チェシャ猫は幸せかしら? ううん、チェシャ猫だけじゃない。他の子達は皆、幸せなのかしら」
一辺倒の答えしか返ってこないことはわかっていたけれど、私はそう、チェシャ猫に聞いた。
「僕らのアリス。・・・・・僕のアリス。君の幸せが僕の幸せ、だよ」
「僕らの、じゃ、なくて?」
「僕は僕だから他は知らないよ」
「・・・・・そうね。そうよね」
一辺倒の答えしか返ってこないことはわかっていたけれど。

それが幸せ。



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母親が起きたので尻切れトンボでお終いですよ。風呂はいって寝ますよ。
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