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 トン、と軽い音をさせて切り立った岩肌の一つに舞い降りる。薄い生地で出来た中国服の袖が揺れた。ふう。ここまでくれば、町まではそれ程の距離はない。
 大酒飲みのお師匠様を思い浮かべて、クイーンは一人深いため息をついた。後ろを見上げれば、十メートルはゆうに越す断崖絶壁だ。これが町への一番の近道だということに気付いたのは、つい最近。一度目は流石に躊躇したけれど、一度降りてしまえば何のことはなかった。
 クイーンは、服についた埃を払った。こんなところで油を売っている暇はない。町へ向かおうと顔を上げて、クイーンは硬直した。

「……天使さん…?」

 呟きは、確かに少女から発せられたものだった。明らかに泣きはらした顔の少女は、じぃっとクイーンの顔を見ている。少女が何故、こんなところにいるのだろうか? よくよく見ればその服のあちこちはほつれていた。赤いワンピースは所々破れ、フリルのついたシャツは土や草の汁で汚れて無残だ。ワンピースから出た足には、幾つかの怪我。
 少女はもう一度呟いた。

「天使さん?」

 二人の間を気まずい風が吹き抜ける。クイーンは我にかえると、その顔を微笑みで満たした。

「ボンジュール、マドモワゼル」
「こんにちは」

 袖口で涙を拭った少女が、返す。迷子だろうか? けれど、町からさほど離れていないとはいえ、此処は辺境だ。猟師や登山家が迷い込むことはあるかもしれないが、まだ年端も行かないような子ども。何故?

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はいむりーっ
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