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 意識が沈澱していく。この感覚に身を任せたが最後、次に出て来る私は私でないことを私は解っているのに。酷い睡魔が意識から何から呑み込んで、私を追い越す私でない私とすれ違ったのが記憶の終わり。

「アリス、アリス、悪かったって……ふててないで朝飯でも食おう」

 火村英生の声が聞こえて、アリスはぐらぐらと怠惰に澱んだ脳味噌に叱咤した。起き抜け一番に感じたのは、身体の節々の痛み。ギシギシと鳴る関節に、アリスは舌を打つ。好き勝手しやがって。

「……ほんま、明け方までお盛んなことで。ええ加減にせえや……」
「アリース……悪かった、起きられるか?」
「っさいわ、自分のモンみたいに喋り掛けんな。今のうちはお前の知っとる有栖川有栖と違う」
「アリス……? ……どういう意味だ」
「明晰を誇る頭脳使って考えや。今、はお前のアリスとちゃうわ」
「今……?」
「ハジメマシテ、有栖川有栖の国の、アリスと申します」
「……」

※※※

「悪いけど、うち、お前のことよう好かんねん」
「……アリス」
「ああ、勘違いすんな。うちが嫌いなんは、有栖川有栖が好きな火村英生や。子供の妬きもちみたいなもんやから、お前のアリスには充分好かれとる自信持ったらええ」
「気付かなかった、ってのも可笑しいな……。そんな素振りも見せなかったんだから、気付かなくて当たり前か」
「お前と居るときにうちが出て来たことは一回もなかったし、正真正銘ハジメマシテや」
「アリスは知ってるのか?」
「知っとる」
「そうか……」
「ま、そうは言うてもうちの事は有栖川有栖も忘れとるくらいやからな」

 思い出したくない記憶であると言っても良いかもしれない。

※※※
うちの准教授はアリスアリスうるさいなあ。
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