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 絶対に譲れないものがある。絶対に譲らなければならないものがある。絶対に侵入出来ない領域がある。絶対に教えてもらえない秘密がある。絶対に共有出来ない時間がある。絶対に覗けない深淵がある。絶対に忘れられない過去がある。絶対に知ることの出来ないあなたが居る。

 詰まるところ、二人の思うところは同じなのだろう。絶対に絶対に譲れないものはシエル・ファントムハイヴ。絶対に譲らなければならないものはシエル・ファントムハイヴ。絶対に侵入出来ない領域は、セバスチャンから言えばエリザベスとシエルの許嫁という関係性であり、エリザベスから言えばセバスチャンとシエルの主従という関係性。絶対に教えてもらえない秘密は、エリザベスとシエルの幼年のまだ二人共がきらきらと幸せだった頃で、セバスチャンとシエルの悪魔の契約。絶対に共有出来ない時間は天国と地獄。絶対に覗けない深淵は、シエルがセバスチャンと伴に永久に立つ煉獄。絶対に忘れられない過去は、エリザベスとシエルとが戯れたあの大切な思い出。

「セバスチャンには、シエルの今と未来をあげる」

 ニッコリと笑ったエリザベスは、セバスチャンを見てそう曰った。言われたセバスチャンは、困った笑顔を浮かべている。勝手に、あげる、と言われたシエルは、また突拍子もないことを言う許嫁にため息をつき、執事のいれた紅茶を口に含むと目を細めてゆっくりと蒸下した。茶葉の香りが鼻に抜ける。ふぅ。


 庭園には白と桃のカフェテラスめいたものが作られて、そこに座る二人の子どもはまるで人形のようだ。もっとも、一人は何だか嫌そうな顔をしているし、その傍らには全身黒づくめで明らかにファンシーなその場に似合わない執事は居るわけだけれど。尚、カフェテラスはこの執事の手作りだ。
 遠いところわざわざお越しくださったのですから、と執事が庭に作ったカフェテラスを、エリザベスが喜ばないはずがない。もともと、仕事も兼ねてファントムハイヴ邸へやってきたエリザベスの母であるミッドフォード侯爵夫人が外出している間中、そのお守り基エスコートを頼まれているシエルは嫌々渋々ながらも許嫁のたっての希望、というか半ば強引なお願いにより致し方なく乙女空間で紅茶をしばいている。が、このエリザベスという少女の乙女思想、解ってはいたが全力で白旗を上げたいシエルだ。ついていけない。そこへ来て先ほどの発言。統率者としての力は遺憾なく発揮する坊ちゃんも、如何に有能な悪魔の執事も、これには流石に困惑してしまう。

「エリザベス様、」
「僕はモノじゃないんだ」

 ぎゅい、と音をさせて、シエルは椅子の背にもたれ掛かる。セバスチャンの言葉を取った台詞には特別嫌悪があるわけでもなく、それはただの、正当な呟きだ。けれど、エリザベスは無邪気に、当たり前よ! と鼻を鳴らした。違うのよ、

「シエルをあげるんじゃないのよ。シエルの傍に居る、役目をあげるの」
「役目?」
「そう。その代わり、シエルの過去と未来は私が貰うのよ」

 これで、ちょうどいいでしょ? 意味が分からないのはシエルとセバスチャンだ。役目など定められなくともセバスチャンは今も未来もシエルの傍にいる。それは契約だからだ。とはいえ、それは言えない。言えないが、訊いてはおきたい。それに、他にも疑問は残る。

「エ……、リジー、」

 エリザベスは用意された茶受けのクッキーを頬張ってきょとんと首を傾げた。なあに?

「役目、とはどういう意味だ? それから、僕の未来、をセバスチャンにやるのに、僕の未来を同時にリジーにあげるのは矛盾してないか……?」

 やはりきょとんとしていたエリザベスは、口の周りをクッキーの粉まみれにして笑った。あのね。

「だって、シエルは、未来で、私とも一緒に居るでしょ? だから。それに、シエルの今、はまだ少し長いけど、シエルの過去は二度と戻ってこないし、そこにセバスチャンは入れないから、セバスチャンには過去より長い今、と未来をあげるの」

 ね。矛盾じゃないでしょ? 少女は綺麗に微笑んで、そう紡いだ。シエルは少し眼を丸くする。それじゃあ、

「役目、というのは?」
「うーんとね……内緒!」

 えへ、と笑うその顔は、シエルの瞳になんだか寂しげに映った。理由はわからないけれど。
 そうか、と呟いたシエルのカップに、紅茶が注がれる。と、セバスチャンが思い出したように主人の顔を覗いた。エリザベスには聴こえないよう、耳打ちする。

「そういえば、坊ちゃん。先日行った街で、エリザベス様へのプレゼントを購入されていませんでしたか?」

 執事の言葉に、ああ、と声を上げたシエルは、取りに行くついでに用を足してくる、と残して席を立った。まったく、レディの前ではしたないですよ。は届いていないかもしれない。

****

言わずもがな涼のシエルとリジーの小話に当てられて書いた話ですよ。単純な自分に乾杯!完全版はサイトに突っ込むぜ。ていうか、しょーとしょーとにする予定だったのにあれ?

まあ、二人は似てるよねみたいな。

俺が書いたらリジーがただの女の子になりましたあれ?おかしいな目から水が。

タイトルのクレオメも花だぜ。花言葉は「秘密のひととき」らしい。

なんだかんだいって、うちの女子達はなにやらいろんな意味で男子より強くなる傾向にあるらしいよ。うちのリジーは、セバスチャンもシエルの一部として好きですよ。多分。いや、わかんねけど。

かっこよくって強くて弱い、そんな女の子が書ければいいと思います。(むずかしいけどね!)(ていうか書こうとしなくてもそうなっていく節もうだうだ)
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