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2011.05.20 Fri 06:27:48
忍具の手入れも、また仕事の内。クナイを研ぎ、手裏剣を研ぎ、隠刀を研ぐ。砥石を滑る音は部屋に響き渡り、サクラはその音を耳に、手に感じながら一心に手を動かしていた。他に感じる気配は、背後で墨を摺るそれだけ。
他者の居ない場所で忍具の手入れをする仲間は多い。
サスケは、一人でないと落ち着いて手入れができないと言っていた。独りで居られないくせに。
ナルトは、手入れをするところを他人に見られたくないのだと。ただ、サスケには背中を預けてすることもあると言っていたから、ナルトはサスケを人だと思って居ないのかもしれない。酒の席での話だ。
シカマルやヒナタは、集中したいから。研ぐ行為に。音に。投げる感覚を考えながら、自分の癖を補う形に。参謀肌の彼等らしいと思う。
キバは、忍犬を傍らに寄せて。彼らをより忍具に慣らすのだという。
一人きり、縁側で、ベッドの上で、或いは四面を壁で囲われた部屋の中で、ひっそりと人を殺す、身を護る、そんな準備に勤しむ。
--それはとても恐ろしいと、サクラは思ってしまうのだ。
サクラは、一人で手入れをすることを好まない。
包丁などは独りきりだろうが誰が居ようが気にせずに研ぐのだけれど、忍具は駄目だ。それは、人を殺すものだから。
首を切って、胴を切って、血を浴びる刃。道具自体は怖いとは思わない。扱う自分が怖いだけ。道具は操る人間の意思のままにしか動かない。
下忍の頃は何も思わず、自室で研いでいたこともあった。一人で、好きな音楽を聴きながら。大好きな仲間の--サスケの写真を見ながら。あの頃は強くなることが、技を知ることが、ただ楽しかった。
(人を殺したことがなかったから)
「どうしたの、サクラ」
背後から、声がした。つい一時間程前まで、半紙と筆と仲良ししていたサイの、声が。今は硯に墨を置いてしゃーこしゃーこやっている男のそれに振り向くこともなくただ手だけを動かし、答える。
「サスケ君を好きでいられた頃は幸せだったと思ってただけ」
嘘ではない。
あの頃は盲目的にサスケを追い、ナルトに当たっていた。里の加護の下、辛いことだって勿論あったけれど、文句ばかり言っていたけれど、それでも幸せを見つけるのは今よりうまかったように思う。
「そう」
サイは、墨を置くとすっと立ち上がる。そのまま、クナイを研ぐサクラの脇を抜けた。サクラの手が止まる。
「……どこ行くのよ」
「うん。お腹空いたから、何か食べようと思って」
「……」
サクラは、研いでいていいよ。なんて、気を遣うような言い方に苛立つ。そんなこと思ってもいないくせに。
サイは放っておけば、放っておいただけ生活が等閑になる。特に食事はその筆頭で、一週間二週間碌な食べ物を摂取せず栄養補助食品にばかり頼ることなど、ザラだ。体型を気にする年頃の女子の方がよっぽど食べているぞと言いたくなる。
なのに、こんな時ばかり。サクラの手が止まることを誰より知っているサイが、こんな時だけ。
拗ね方が可愛くないと思うけれど、そもそもサイは拗ねていることを自覚していないのだ。質が悪い。
サクラは、溜め息を吐きながら道具を横に退ける。
「……何食べたいわけ?」
「作ってくれるなら、チャーハンが食べたいな」
忍具をポーチに収め、サクラも立ち上がった。
※※※
「サクラ」
「何」
「結婚しようか」
サイの言葉に、眩暈がした。
思わず、包丁を強く握り締める。
良かった。そう思った。
今握っているこれが、人殺しの道具でなくて、本当に良かった。
「何、それ」
野菜を切る音が途絶えた部屋に、心臓の鼓動だけ、うるさく響く。
※※※
とりあえずネタだけ投下(´・ω・)
オフでキャパ限界過ぎてもうどうにもならん…。いや、まだ限界ではないのか…?
涼さんがNARUTOに本気過ぎて私がついていけない←
とりあえず呑みに行きたい…。
他者の居ない場所で忍具の手入れをする仲間は多い。
サスケは、一人でないと落ち着いて手入れができないと言っていた。独りで居られないくせに。
ナルトは、手入れをするところを他人に見られたくないのだと。ただ、サスケには背中を預けてすることもあると言っていたから、ナルトはサスケを人だと思って居ないのかもしれない。酒の席での話だ。
シカマルやヒナタは、集中したいから。研ぐ行為に。音に。投げる感覚を考えながら、自分の癖を補う形に。参謀肌の彼等らしいと思う。
キバは、忍犬を傍らに寄せて。彼らをより忍具に慣らすのだという。
一人きり、縁側で、ベッドの上で、或いは四面を壁で囲われた部屋の中で、ひっそりと人を殺す、身を護る、そんな準備に勤しむ。
--それはとても恐ろしいと、サクラは思ってしまうのだ。
サクラは、一人で手入れをすることを好まない。
包丁などは独りきりだろうが誰が居ようが気にせずに研ぐのだけれど、忍具は駄目だ。それは、人を殺すものだから。
首を切って、胴を切って、血を浴びる刃。道具自体は怖いとは思わない。扱う自分が怖いだけ。道具は操る人間の意思のままにしか動かない。
下忍の頃は何も思わず、自室で研いでいたこともあった。一人で、好きな音楽を聴きながら。大好きな仲間の--サスケの写真を見ながら。あの頃は強くなることが、技を知ることが、ただ楽しかった。
(人を殺したことがなかったから)
「どうしたの、サクラ」
背後から、声がした。つい一時間程前まで、半紙と筆と仲良ししていたサイの、声が。今は硯に墨を置いてしゃーこしゃーこやっている男のそれに振り向くこともなくただ手だけを動かし、答える。
「サスケ君を好きでいられた頃は幸せだったと思ってただけ」
嘘ではない。
あの頃は盲目的にサスケを追い、ナルトに当たっていた。里の加護の下、辛いことだって勿論あったけれど、文句ばかり言っていたけれど、それでも幸せを見つけるのは今よりうまかったように思う。
「そう」
サイは、墨を置くとすっと立ち上がる。そのまま、クナイを研ぐサクラの脇を抜けた。サクラの手が止まる。
「……どこ行くのよ」
「うん。お腹空いたから、何か食べようと思って」
「……」
サクラは、研いでいていいよ。なんて、気を遣うような言い方に苛立つ。そんなこと思ってもいないくせに。
サイは放っておけば、放っておいただけ生活が等閑になる。特に食事はその筆頭で、一週間二週間碌な食べ物を摂取せず栄養補助食品にばかり頼ることなど、ザラだ。体型を気にする年頃の女子の方がよっぽど食べているぞと言いたくなる。
なのに、こんな時ばかり。サクラの手が止まることを誰より知っているサイが、こんな時だけ。
拗ね方が可愛くないと思うけれど、そもそもサイは拗ねていることを自覚していないのだ。質が悪い。
サクラは、溜め息を吐きながら道具を横に退ける。
「……何食べたいわけ?」
「作ってくれるなら、チャーハンが食べたいな」
忍具をポーチに収め、サクラも立ち上がった。
※※※
「サクラ」
「何」
「結婚しようか」
サイの言葉に、眩暈がした。
思わず、包丁を強く握り締める。
良かった。そう思った。
今握っているこれが、人殺しの道具でなくて、本当に良かった。
「何、それ」
野菜を切る音が途絶えた部屋に、心臓の鼓動だけ、うるさく響く。
※※※
とりあえずネタだけ投下(´・ω・)
オフでキャパ限界過ぎてもうどうにもならん…。いや、まだ限界ではないのか…?
涼さんがNARUTOに本気過ぎて私がついていけない←
とりあえず呑みに行きたい…。
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