今更さよならの意味を知ったところでもう元になど戻れないのに。

　だって、確かに好きだったのは彼女だけなのだ。言わなくても伝わっていた。只、信じてもらえなかった、その唯一つだけが、二人の最期を変えた。
　突きつけられた詞を理解するのに時間が掛かった。嫌いになった？　訊く度に横に振られる首に、安堵していた。も、う、彼、女、は、そ、の、質、問、に、首、を、縦、に、振、る、程、子、ど、も、で、な、か、っ、た、だ、け、な、の、に。綺麗な笑顔であるためにどれだけ汚いものを飲み込んで泣いたのだろう。俺は伝えることしかしなかった。

(側に居るしかないのに傍には居られないなんて滑稽過ぎて、)


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３月だなんて信じない。