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ネタ的には割と好きだったんだけど、思うように運ばず。後半あたりが練れず。うーん。
とりあえず投下。

※※※

 今日は酔いつぶれてやる。決めたサクラは、潔かった。どうせ明日は一日中オフ日なのだし、それを思えば、二日酔いも悪くはない。
 アカデミーより前からなんだかんだ親友している山中いのから、アンタの部隊と合同呑み企画するからアンタも来なさいよーと言われ、偶には、と参加した今日だった。断る理由もない。けれど、特別楽しもうとも思っても居なかった。結局只単に味もない安酒が呑みたかったのだ。一人ぽつねんと隅に座り、宴を見ながら。

 飲み会当日、どうしてどうして、サクラの希望は部隊の部下達によって打ち砕かれた。否、打ち砕かれているいまなう。
 滅多飲み会に顔を出さないサクラは、店に来た瞬間からまさかの人気者だった。特に山中班から。何故かと言えば木ノ葉の春野サクラと云えば、向かうところ敵なしの剛腕と類い希な医療忍術の才能、更に非常に秀でた幻術の技を持ち、更に更に、あの、うちはサスケとうずまきナルトを手懐けている九ノ一だから、であるらしい。強い忍は男女問わず憧れの的になるものであり、サクラも例に漏れず、なのだった。
 でもそれってつまり゛強い男を手懐けている゛私に興味があるだけでしょう。はぁ。

「サクラさん、そんなに呑んで大丈夫なんですか……?」

 深い溜め息を吐いたサクラを気遣ったのは、山中いの率いる隊の新人だった。
 そんなに、といわれたサクラの前にあるのはまだ徳利一本で、こんなもんで酔えるなら家で呑むわよ、と毒づきたくなる。

「大丈夫じゃなくなりたいから呑んでるのよ。放って置いてくれて構わないから、君はあっちで盛り上がってらっしゃい」

 新人君が、それでも心配そうな顔をする。この顔は、サクラが三時間くらいペースを変えずに酒を煽り普段に増して口が悪くなったあたりでサスケとナルトがする顔だ。
『大丈夫、サクラちゃん……?』
『大丈夫じゃなくなりたいから呑んでるのよ、大体、呑みたい理由はアンタ達なんだから、止めんな!』
 これもいつも。
 本当に頭の悪い迷惑な理由だと、自分でも思っているがそも今日は酒を呑みに来たのだ。早々に酔ってしまいたい。ポーカーフェイスの下が実は下戸なサイなどとは違い、サクラは笊だ。吐く程酔うにはそれなりの量が必要であり、おまけに大勢の中の一人という省き要素でも加わらなければ望む程酩酊することはできない。鬱は最大の酒のつまみ。
 ちなみに余談だが、サスケ、ナルトなどは酒に関してはまるで蟒蛇である。恐らく同期で一番強い。体質もあるだろうが、競って呑むせいで酒に耐性がついたようだ。
 そこまでとは行かず、けれど強いサクラは普段はくたばって帰れなくなるほど酔うことはない。家に帰ればバタンキューだが、少なくとも路上で嘔吐などという失態は犯さない。
 でも、今日はそこまででも呑みたい気分なのだ。

「でも、」
「今はまだ、大丈夫、だから、ね?」

 再三の気遣いに申し訳程度に返事をしていると、誘ってくれた親友がとうとう眉を顰め、顔をしかめた。

「独りで呑みたいなら家で呑みなさいよー」

 それは全くその通りなのだけれど、残念。

「独りで呑みたいんじゃなくて、大勢いるところで一人になりたいのよ……」

 本音を洩らせば、ネクラちゃんと言われた。事実であるし、言い返す気も起きないので言わせたいままにさせておく。

「サクラ上忍て実は甘えたがりさんですか?」

 すっかりサクラに興味をお持ちになってしまったらしい新人君は、いっそ、と正面に陣取ってしまった。出きれば一人で呑みたかったけれどこの際止めやがらないのであれば別段構わないと思うことにした。
 隣では、いのが杯を傾けている。甘えたがりなのー?

「私は面倒臭い女なだけ。本当、構わなくていいから」

 返事をすればその都度罪悪感がこみ上げるのでつまみとしての鬱気分は大分良い線行っていそうだが、合間合間で酒を切られるせいで到底酔えそうにない。そして、酒が切れる度に、

「あ、サイさん」
「どうも。サクラはまだ『大丈夫』?」
「うぇ、はい、」
「良かった、間に合って」
「任務か何かですか?」
「ちっがうわよ、コイツはね、私が前後不覚になってぐったりすんの見るのが好きなのよ。悪趣味」
「付き合うよ」
「お酒が不味くなるから結構ですー」
「不味くなる、はおかしいんじゃないかな? 今呑んでるお酒の味がそんなにすぐに劣化するとは思えないよ」
「アンタにはそういう特集能力が備わってんの」
「始めて知った」
「でしょうね。自覚してたら酒の席にわざわざ来たりしない……ああ、でもサイさんならわかりませんよねー、KKYだからー」
「KKY?」
「悉く空気読めない」

「サクラさんて、サイさんに冷たくないですか……?」
「言われてるわよ、冷血でこりん」
「あ、いや、じゃなくて、」
「そう思うでしょ? 冷たくしてんのに構ってくるのよ」
「サクラの泣く顔はみたくないから」
「何それ」
「サクラはひとりで呑んでると突然泣き出すからね」
「……見たくないなら、そばにこなきゃいいじゃない」

 ふん、と鼻を慣らしながら一気に不味くなったアルコール水を飲み干すと、サイが徳利を差し出してくる。これは別に気を遣っているわけでも気を利かせているわけでもない。つい先日家でもって呑んでいた時にサクラが飲み干した杯を突き付けて注がせていたら覚えただけの行為だ。

「うーん、違うかも。サクラの泣く顔を、見せたくないんだ」
「……ハァ?」

 何言ってんのコイツ、と息をつきながらその顔を見ると、いつになく真剣な、その癖どこか優しげな、一言で言えば珍妙な顔をしているものだから、サクラはいよいよ反応に困る。そんなサクラは置いてきぼりで、サイはひたすらマイペースだ。

「それに、サクラは呑んで潰れるまでの過程が僕に対して一番素直な反応を返してくれる」

 確かに。
 確かに、呑んでいる時の罵詈雑言の数々が゛素直゛にカテゴライズされるならサイに対するそれは一番゛素直゛であるということになるのだろう。けれど。

「何言ってんの?」

 とうとう声に出る。だって、サイが何を言わんとしているのか全くわからない。ただすごく、嫌な予感だけはする。
 KKYのサイだ。

「これは、好意かな?」
「コウイ」

 漢字変換出来ず、サクラの眉間には思い切り皺が寄る。

「うん、どうやら僕はサクラのことが好きみたいだ」

 ドーン。

 どこまでも、爆弾を投下する男だった。悩んで悩んで悩んで苛立っていたのが馬鹿のような、告白。しかも、脈絡もあってないようなものならその言葉だって到底ロマンティックとは言えないものだった。昔の、サスケ君と二人きり真夜中の公園静けさの中でそっと言われる好きだよ、は幻想ですらない妄想で、現実は真夜中近くの居酒屋でそれが告白なのかも定かでない、まるで報告。大体相手はサスケ君ですらなかった。もう彼は憧れの君ではないから。でも、アンタだって、ねえ……!
 ブチッ。

「……~~サイ! ッお前、もう、死ね!」

 ドンチャン騒ぎの穏やかさは一瞬の内にサクラの暴動に掻き消されてしまった。
 なんなのそれなんなのそれなんなのそれ!

「サクラさん……っ!? 落ち着いて下さ……ッ」
「ウルッサイ! ッザッけんじゃないわよッ!」

 焼き切れそうな理性で睨む自分に、驚きもしない男にもうそろそろ拳を振りかぶりそうになる。

「僕は振られたのかな?」

「確かにKKY……」
「でも、確かにアノ告白は今更よねー……」
「どうしてですか?」
「だって、あの二人同棲してるのに」


※※※

サイトに降ろすっていうか上げるっていうかの時には全体的にもう少しマシにしますorz
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