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2010.11.04 Thu 20:04:48
普通、医療に携わる忍者が自ずから試作品を試すことは基本的に先ず、無い。その試作品が例え如何様な効力を発揮するものであってもだ。治療に使う薬のように動物実験の出来るようなものならばまだしも、前線で戦う忍が使うことを想定して調合された、試すにも人体実験が必要なものであれば尚更、高確率での危険が伴うためである。
その花ひとひら
「ちょっと拙いことになってね」
Sランク任務明け(二十日連勤総夜勤明けとも言う)から帰里したナルトとサスケのバディは、そのままの体でもって五代目火影綱手に呼び出された。任務期間中は仮眠こそすれ、気の張り詰めた中でのそれらはとてもじゃないが熟睡とは程遠いレム睡眠、三週間で何度悪夢に魘されたかわからない。序でに三週間で何度死線を飛び越えて三途の川を渡ると思ったかも知れない。そんな任務明けの二人であったから、もうとっとと帰って泥のように眠りにつきたい、と考えて、それだけを生きる希望のようにまさに最後の力を振り絞って走ってきたというのに、だ。里についた途端にいつからそこに居たのか、元担当上忍はたけカカシによって二人仲良く火影邸へと連行されたのである。その連行した張本人のはたけカカシ曰く「もしかしたらあの時の二人を相手にして戦ったら、俺でも瞬殺だったかも……」そのくらい二人は殺気立っていた。
二人は最早走る気力もなく、人気のない道を男三人で黙々と歩く。歩む速度こそ変化ないが、その足を動かす度に二人の、特にサスケの機嫌が下降していくのがわかり、カカシは内心溜め息を吐いた。貧乏くじ引いちゃったなあ、と遠い目をするが、それでは果たしてそのくじを引いたのはいつだったのだろうか。
あと数分歩けば火影邸に着く、という所で、無言のまま只管足を動かしていたサスケが口を開いた。このまま機械的に足だけ動かしていたら歩きながら寝るとでも思ったのかもしれない。カカシにもそんな経験が何度もあった。(流石に二十連勤総夜勤直後の呼び出しなんて鬼畜を通り越した荒行はなかったが)
「カカシ……これで下らねえ用件だったら手前ェの首と胴体別れる覚悟は勿論決まってんだろうなァ……」
それはもうまさに地を這う蛇を彷彿とさせるもので、カカシは心で二度目の溜め息を吐き出す。
「あのね、俺だって好きでお前達引率してんじゃないのよ?」
大体まだ事情を知らない今だからそんな風に、如何にも面倒です正直元直属上司のコイツをうっかりちゃっかりしっかり殺してでもとっとと眠りたいですドウゾ、なんて顔してるけどお前達二人とももしかしたら眠気だって吹っ飛んじゃうかもしれないぞ、アイツを見たら。
そんな想いもさらっと言葉の最後に詰め込んだカカシの台詞が勿論殺気立っている二人に対して効力を発揮するわけもなく(というかそんな含みに到底気付く筈もなく)、むしろそんな言葉をぶつけられたサスケとナルトにしてみれば「ザ、ケ、ン、ナ」である。何日まともに寝ていないと思っているのか。そうは思いながらも、火影様が呼んでいる、と言われてしまえばサスケもナルトも無視は出来ない。権力が怖いから、ではなく、純粋にその怪力が怖いからだとは言わないが。何にせよ、泥のように睡眠を貪っているところを叩き起こされるよりも今適当に話を聞いておいて睡眠を取るほうがまだいい。人使いの荒さは天下一品傍若無人の五代目火影と言えど、流石にこの流れで死にかけている二人に「それではこれから再び任務に出てもらう」などという非人道的なことは言わないだろう。言われたとして聞く気もない。
三人が火影邸に着くとそこには同僚の暗部が二人、そして、常になく難しい顔をした五代目火影の姿があった。サスケとナルトは獣の面越しにちらりと互いを見やり、首を傾げる。任務報告をしろ、とでも言うのだろうか? 今回は特に何かをやらかしたという記憶はないが、記憶がないだけで実は何かしていた? 呼び出しておいて口を開かない火影に痺れを切らしたのは、サスケだった。
「オイ、何のために俺達を呼び出した?」
「機嫌が悪いね……まあ、当然か」
「おかげさまでここ半月まともに寝ていないんでな」
「任務ご苦労だった」
報告書は明日以降でいい、とのたまう綱手に、二人は当然だ、と突っ込みを入れる。いいも何も、今報告書を書いたところで「無事終了」以外の言葉が書けるわけがない。欠伸をかみ殺しているのは隣で突っ立ったまま眠りそうになっているナルトだけではないのだ。
里に入った途端に切れた集中力は、サスケもナルトももう戻りそうにない。
そんな二人を見ていた綱手の口からは、珍しいことに「すまないね」が漏れた。しかし、やはりその難しい顔は戻りそうにない。
「お前達を呼んだのは、ほかに適任者が居ないと思ったから、なんだが……」
「らしくねえな。歯切れが悪いにも程がある。適任者……まさか、こんな状態の俺達に更に任務を押し付けようってんじゃねえよな……?」
「任務、ではないな」
曖昧な台詞に、サスケは眉を顰める。視線でもって促せば、続いたのは、預かって欲しい子供がいる。
「どういうことだ」
ガキのお守りはガキにさせておけ、と一蹴したサスケに、そうしたいのは山々なんだけどねえ、綱手がそう言いながら見せた一枚の写真には、知りすぎるほど知っている仲間の、知る最古の時代より遥か過去の、少なくともここ数年はみていないようなあまりに可愛らしい笑顔がうつっていた。
「サクラが、どうした?」
「それが今のサクラの姿だよ」
だからどうした、言ってしまえる程度には、疲れていたサスケだった。
※※※
「その場に居たって言ったってねー、私にもサッパリよー。だって、見つけたのが既にその姿になった後なんだもの」
甘味処、甘栗甘にて餡蜜を頬張る親友を見ながら、第一発見者のいのは唇を尖らせた。
サクラの一件で、困り果てたサスケとナルトはとりあえず詳しい事情を聴取しよう、と、休暇中のいのを捕まえた。しかし、せっかく捕まえた彼女の第一声が、私に期待しないでよねー? だった時点でもう諦めていた二人である。
「サクラちゃんがこうなる前、なん変わったこととかなかったってば?」
「あったら言ってるわー」
いいながら、いのの瞳がサクラを見つめる。
出会った頃はもう少し大きかった。
じっと見つめていると、緑の瞳が揺れた。その唇の端には、餡蜜にかかっている黒蜜がべとりとついている。
「さくらのお顔、なにかついてる……?」
「え?」
「おねーちゃん、ずっとさくらを見てるから……さくらのお顔、変? おでこ、広いから?」
泣きそうになった顔に、いのはふるふると顔を横に振った。この子は、こんな頃から広い額にコンプレックスを抱いていたのか、と、少しおかしくなった。
「口の端っこ、黒蜜がついてるわよー」
言われたサクラは、舌をちろりと出して蜜を舐める。そのまま、隣に座るナルトを見上げると、取れた? と首を傾げた。
「取れてるってばよ」
おいしいってばよ? うん!
桃色の髪の毛を優しく透いてやると、サクラは子供然と微笑む。当然だ。サクラは、今、精神も肉体もまるきり子供なのだから。
「……サクラのこんな含みのない笑顔見たの、久しぶりだわー……」
「かーわいいってば」
「デレデレねー、ナルト」
「本当にな」
「とか言って、お前だってデレデレじゃねえか」
聞いてくれってば、いの! サスケってば俺とサクラちゃんが一緒にテレビ見てると、サクラちゃんのこと俺から取り上げて自分の膝に乗せるんだってばよ? キャラちがくねえ!?
それは、幼くなったサクラがお前ばかり慕うし、お前はそんなサクラにばかり構うからだ、と、サスケは言葉にこそ出さないが、息をつく。
やだ、そんなサスケ君ー、と、顔を歪めるいのにサスケが閑話休題とばかりに本題を持ち出した。
「いの、お前がサクラを見つけた時にはすでにこの姿だった、といったな?」
「そうよー。サスケ君達が帰ってくる……三日くらい前かしらー」
「三日前……何にせよ、俺達が任務に出てから日が経っているな……」
クルクルとコップの中の氷をストローでかき混ぜていたいのは、ほーんと、わけわかんないわよー、と大きな溜め息を吐いた。
「アンタがこんなになってるっていうのに、サイさんは何してるのかしらねー」
「サイ?」
唐突に出現した名前に、ナルトが疑問符を浮かべる。ナルトとサスケが里に戻ってから一度もサイの姿を見ていないが、サクラの件を聞いたその時に「奴は任務だよ」と聞かされていた。居ないことには話も聞けないな、くらいにしか考えていなかったのだが、それを考えなしと一刀両断するのはあまりにも酷だろう。なにせ、話を受けた日の二人といったらもう精も根も尽き果てていたのだし、その翌日にしたって昼過ぎに二人してベッドでおはようございますお前何でここで一緒に寝てんだサスケこの野郎! 言ったのが奇跡のようなものだったのだから。
もっと寝汚く時間を無駄に使う予定でいたのが、サクラのことが気になってしまった。とりあえず病院に入院させてあるが、見た目はともかく体内に今のところの異常が見られないこともあり今日の朝にはめでたく退院。かといってどのような症状が出るかわからないサクラを家族に任せるのもごにょごにょ。(勿論サクラが自主的に自身に某かを致したのだとしたら他害するようなことはないのだろうが)
サスケとナルトが綱手から聞かされていることはあまり多くない。
サクラの退行は恐らく、チャクラから考えて術の類ではないことや薬品の反応が濃くでていることから、薬品を飲んだことによるものだろう、と推定されるがそれとて確実ではないのだ。大体、綱手の話では医療忍者であるサクラが不用意に薬品を使用することはないという。誰かに無理やり飲まされたか、若しくは、何らかの理由があり自身で飲んだか。前者であれば、サクラが大人しく飲まされるわけもないだろうので、ここ三日間で全身複雑、若しくは解放骨折している奴がいれば間違いなくソイツが犯人だ。問題は、後者の場合である。
「ごちそうさまでした!」
あどけなく笑う少女は憂いのその訳を、どこへやってしまいたかったのか。
その花ひとひら
「ちょっと拙いことになってね」
Sランク任務明け(二十日連勤総夜勤明けとも言う)から帰里したナルトとサスケのバディは、そのままの体でもって五代目火影綱手に呼び出された。任務期間中は仮眠こそすれ、気の張り詰めた中でのそれらはとてもじゃないが熟睡とは程遠いレム睡眠、三週間で何度悪夢に魘されたかわからない。序でに三週間で何度死線を飛び越えて三途の川を渡ると思ったかも知れない。そんな任務明けの二人であったから、もうとっとと帰って泥のように眠りにつきたい、と考えて、それだけを生きる希望のようにまさに最後の力を振り絞って走ってきたというのに、だ。里についた途端にいつからそこに居たのか、元担当上忍はたけカカシによって二人仲良く火影邸へと連行されたのである。その連行した張本人のはたけカカシ曰く「もしかしたらあの時の二人を相手にして戦ったら、俺でも瞬殺だったかも……」そのくらい二人は殺気立っていた。
二人は最早走る気力もなく、人気のない道を男三人で黙々と歩く。歩む速度こそ変化ないが、その足を動かす度に二人の、特にサスケの機嫌が下降していくのがわかり、カカシは内心溜め息を吐いた。貧乏くじ引いちゃったなあ、と遠い目をするが、それでは果たしてそのくじを引いたのはいつだったのだろうか。
あと数分歩けば火影邸に着く、という所で、無言のまま只管足を動かしていたサスケが口を開いた。このまま機械的に足だけ動かしていたら歩きながら寝るとでも思ったのかもしれない。カカシにもそんな経験が何度もあった。(流石に二十連勤総夜勤直後の呼び出しなんて鬼畜を通り越した荒行はなかったが)
「カカシ……これで下らねえ用件だったら手前ェの首と胴体別れる覚悟は勿論決まってんだろうなァ……」
それはもうまさに地を這う蛇を彷彿とさせるもので、カカシは心で二度目の溜め息を吐き出す。
「あのね、俺だって好きでお前達引率してんじゃないのよ?」
大体まだ事情を知らない今だからそんな風に、如何にも面倒です正直元直属上司のコイツをうっかりちゃっかりしっかり殺してでもとっとと眠りたいですドウゾ、なんて顔してるけどお前達二人とももしかしたら眠気だって吹っ飛んじゃうかもしれないぞ、アイツを見たら。
そんな想いもさらっと言葉の最後に詰め込んだカカシの台詞が勿論殺気立っている二人に対して効力を発揮するわけもなく(というかそんな含みに到底気付く筈もなく)、むしろそんな言葉をぶつけられたサスケとナルトにしてみれば「ザ、ケ、ン、ナ」である。何日まともに寝ていないと思っているのか。そうは思いながらも、火影様が呼んでいる、と言われてしまえばサスケもナルトも無視は出来ない。権力が怖いから、ではなく、純粋にその怪力が怖いからだとは言わないが。何にせよ、泥のように睡眠を貪っているところを叩き起こされるよりも今適当に話を聞いておいて睡眠を取るほうがまだいい。人使いの荒さは天下一品傍若無人の五代目火影と言えど、流石にこの流れで死にかけている二人に「それではこれから再び任務に出てもらう」などという非人道的なことは言わないだろう。言われたとして聞く気もない。
三人が火影邸に着くとそこには同僚の暗部が二人、そして、常になく難しい顔をした五代目火影の姿があった。サスケとナルトは獣の面越しにちらりと互いを見やり、首を傾げる。任務報告をしろ、とでも言うのだろうか? 今回は特に何かをやらかしたという記憶はないが、記憶がないだけで実は何かしていた? 呼び出しておいて口を開かない火影に痺れを切らしたのは、サスケだった。
「オイ、何のために俺達を呼び出した?」
「機嫌が悪いね……まあ、当然か」
「おかげさまでここ半月まともに寝ていないんでな」
「任務ご苦労だった」
報告書は明日以降でいい、とのたまう綱手に、二人は当然だ、と突っ込みを入れる。いいも何も、今報告書を書いたところで「無事終了」以外の言葉が書けるわけがない。欠伸をかみ殺しているのは隣で突っ立ったまま眠りそうになっているナルトだけではないのだ。
里に入った途端に切れた集中力は、サスケもナルトももう戻りそうにない。
そんな二人を見ていた綱手の口からは、珍しいことに「すまないね」が漏れた。しかし、やはりその難しい顔は戻りそうにない。
「お前達を呼んだのは、ほかに適任者が居ないと思ったから、なんだが……」
「らしくねえな。歯切れが悪いにも程がある。適任者……まさか、こんな状態の俺達に更に任務を押し付けようってんじゃねえよな……?」
「任務、ではないな」
曖昧な台詞に、サスケは眉を顰める。視線でもって促せば、続いたのは、預かって欲しい子供がいる。
「どういうことだ」
ガキのお守りはガキにさせておけ、と一蹴したサスケに、そうしたいのは山々なんだけどねえ、綱手がそう言いながら見せた一枚の写真には、知りすぎるほど知っている仲間の、知る最古の時代より遥か過去の、少なくともここ数年はみていないようなあまりに可愛らしい笑顔がうつっていた。
「サクラが、どうした?」
「それが今のサクラの姿だよ」
だからどうした、言ってしまえる程度には、疲れていたサスケだった。
※※※
「その場に居たって言ったってねー、私にもサッパリよー。だって、見つけたのが既にその姿になった後なんだもの」
甘味処、甘栗甘にて餡蜜を頬張る親友を見ながら、第一発見者のいのは唇を尖らせた。
サクラの一件で、困り果てたサスケとナルトはとりあえず詳しい事情を聴取しよう、と、休暇中のいのを捕まえた。しかし、せっかく捕まえた彼女の第一声が、私に期待しないでよねー? だった時点でもう諦めていた二人である。
「サクラちゃんがこうなる前、なん変わったこととかなかったってば?」
「あったら言ってるわー」
いいながら、いのの瞳がサクラを見つめる。
出会った頃はもう少し大きかった。
じっと見つめていると、緑の瞳が揺れた。その唇の端には、餡蜜にかかっている黒蜜がべとりとついている。
「さくらのお顔、なにかついてる……?」
「え?」
「おねーちゃん、ずっとさくらを見てるから……さくらのお顔、変? おでこ、広いから?」
泣きそうになった顔に、いのはふるふると顔を横に振った。この子は、こんな頃から広い額にコンプレックスを抱いていたのか、と、少しおかしくなった。
「口の端っこ、黒蜜がついてるわよー」
言われたサクラは、舌をちろりと出して蜜を舐める。そのまま、隣に座るナルトを見上げると、取れた? と首を傾げた。
「取れてるってばよ」
おいしいってばよ? うん!
桃色の髪の毛を優しく透いてやると、サクラは子供然と微笑む。当然だ。サクラは、今、精神も肉体もまるきり子供なのだから。
「……サクラのこんな含みのない笑顔見たの、久しぶりだわー……」
「かーわいいってば」
「デレデレねー、ナルト」
「本当にな」
「とか言って、お前だってデレデレじゃねえか」
聞いてくれってば、いの! サスケってば俺とサクラちゃんが一緒にテレビ見てると、サクラちゃんのこと俺から取り上げて自分の膝に乗せるんだってばよ? キャラちがくねえ!?
それは、幼くなったサクラがお前ばかり慕うし、お前はそんなサクラにばかり構うからだ、と、サスケは言葉にこそ出さないが、息をつく。
やだ、そんなサスケ君ー、と、顔を歪めるいのにサスケが閑話休題とばかりに本題を持ち出した。
「いの、お前がサクラを見つけた時にはすでにこの姿だった、といったな?」
「そうよー。サスケ君達が帰ってくる……三日くらい前かしらー」
「三日前……何にせよ、俺達が任務に出てから日が経っているな……」
クルクルとコップの中の氷をストローでかき混ぜていたいのは、ほーんと、わけわかんないわよー、と大きな溜め息を吐いた。
「アンタがこんなになってるっていうのに、サイさんは何してるのかしらねー」
「サイ?」
唐突に出現した名前に、ナルトが疑問符を浮かべる。ナルトとサスケが里に戻ってから一度もサイの姿を見ていないが、サクラの件を聞いたその時に「奴は任務だよ」と聞かされていた。居ないことには話も聞けないな、くらいにしか考えていなかったのだが、それを考えなしと一刀両断するのはあまりにも酷だろう。なにせ、話を受けた日の二人といったらもう精も根も尽き果てていたのだし、その翌日にしたって昼過ぎに二人してベッドでおはようございますお前何でここで一緒に寝てんだサスケこの野郎! 言ったのが奇跡のようなものだったのだから。
もっと寝汚く時間を無駄に使う予定でいたのが、サクラのことが気になってしまった。とりあえず病院に入院させてあるが、見た目はともかく体内に今のところの異常が見られないこともあり今日の朝にはめでたく退院。かといってどのような症状が出るかわからないサクラを家族に任せるのもごにょごにょ。(勿論サクラが自主的に自身に某かを致したのだとしたら他害するようなことはないのだろうが)
サスケとナルトが綱手から聞かされていることはあまり多くない。
サクラの退行は恐らく、チャクラから考えて術の類ではないことや薬品の反応が濃くでていることから、薬品を飲んだことによるものだろう、と推定されるがそれとて確実ではないのだ。大体、綱手の話では医療忍者であるサクラが不用意に薬品を使用することはないという。誰かに無理やり飲まされたか、若しくは、何らかの理由があり自身で飲んだか。前者であれば、サクラが大人しく飲まされるわけもないだろうので、ここ三日間で全身複雑、若しくは解放骨折している奴がいれば間違いなくソイツが犯人だ。問題は、後者の場合である。
「ごちそうさまでした!」
あどけなく笑う少女は憂いのその訳を、どこへやってしまいたかったのか。
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