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 私は多分、相当、苛立っている。
 見たこともない、女に。
 世界は、私達だけで完結するのだと思っていた。馬鹿馬鹿しさに、苛立つ。ナルトが居て、サスケ君が居て、私が居て、カカシ先生が居て、サイも、居る。そんな関係で完結すると本気で私は思って居たのだと、自分で知って、心底厭になった。
 最低だ。

『俺、結婚するんだってばよ』

 吐き出した紫煙が歪みながら空に昇っていくのをぼうっと見つめる。一年に一度吸うかどうかわからない煙草をくゆらせて、思い出すのはつい先刻の、宣告。
 碌な休みもなく続いた激務に一息ついて、久方ぶりに元新旧七班で集まり、お茶でも飲もう、と言い出したのは、一番里に居る時間が短いうずまきナルトだった。
 結局当日集まることが出来たのは、サクラ、サイ、ナルトの三人で、サスケは急務が入ったため姿を現さなかった。けれどサクラは、思う。もしかすると、サスケはわざと任務に就いたのではないか。ナルトとサスケのことだから、暇さえ有れば互いに近況の報告もしている筈だ。だとすれば、サスケは知っていて然るべきであり、そして知っているならば今日あの場所に来るわけがなかった。サクラだって知っていたなら行かなかった。
 あんな、七班の、死刑宣告になど。

 相手とは見合いで、性格はどちらかというと賑やか。俺と似てるから、きっとみんなとも気が合うんじゃねえかなー? そう言ったナルトは、心底かどうかはわからないけれど、そこそこ嬉しそうだった。
(その、みんな、の中には私は入らないわ)
 絶対に。
 サイが、ナルトがそこまで言うなら会ってみたいね、と呟いたことに、酷く嫌気が差したサクラだった。普段は空気を読まない、読めないくせに、こういう時は空気を読み過ぎる。誰かに対して空気を読むということは、また、誰かに対しては空気を読んでいない場合もあるのだと、気が付いた。

「……きっと私は、絶対に、認められない」

(もしかしたら、一生)
 そして、今、この瞬間、一番誰に対しても空気を読めていないのは春野サクラその人だと、サクラ自身よく理解していた。


 私、厭な女。会ったことも無い癖に私は貴女に苛立ち、腹を立て、殺意に似た感情すら覚えている。この衝動が果たしていつか収まることがあるのか、どうか、それは私にもわからないけれど、少なくとも今、は、会うべきではないわ。

 ただただ涙を流す代わりのように、サクラは長く肺腑の煙を吐き出した。
 紫煙が闇を、くすんだ雲に覆われた空を、焦がしてしまえばいいのにと、子供のように願いながら。

 言祝ぐべきは、もう一つ。ナルトの子を、女が身ごもっているらしい。子飼いの女。

***
昨日は涼さんと「ナルトさんはセフレが多そう!」話題で盛り上がりました。まる。これからバイト!
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