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 円に向かって投げられたボールは、軌道としてはその顔面を避けて、彼には当たらないはずだった。それが何故、円の顔にクリーンヒットしたのか、といえば、何のことはない。円という男の天然、運動神経皆無なそれが作用しただけだ。碧は呆気にとられたように円のその顔を見て、その後大仰にため息をついた。

「わざわざ当たりにいくなんて、お前、馬鹿?」

 大の男は、鼻から血を流し、保健室へ連行された。鼻にティッシュを詰められた円の、なんと間抜けなことだろうか。美形は何をしていても似合うというけれど、非常に残念ながら彼の顔は非常に残念なことになっている。赤くなった額を、碧の指が弾く。痛い。と小さい呻き声を発した円は、額を覆った。椅子に座った状態から上目遣いで、碧を見上げる。

「碧が強いボール投げるからだ」
「当たらないところに投げたのに、何で首傾げたわけ?」

 マゾヒストか。に、円が真剣な顔で頭を振る。

「当たると思ったから、よけたつもりだった」
「最初から、キャッチするって選択肢はなかったわけか。軟弱ものめ」

 擦れた鼻頭に絆創膏を貼る。名誉の負傷にもならない怪我だ。

「取れっこないだろ、あんな速いボール」
「お前、昔からそうだよね。引きこもってばっかりいるからだよ」
「うん…でも、眼鏡かけてなくて良かった」

 ズボンのポケットから黒縁の眼鏡を取り出すと、かける。こっちの方が落ち着くね。と呟けば、碧が鼻で笑った。

「伊達の癖に、何言ってんの」

 フレームだけなんだから、かけてたってフレームの跡つくくらいじゃん。今度は、円が笑う。

「違うよ。これは、碧がプレゼントしてくれたから」

 笑顔に、碧の顔が引きつる。ニコニコしている円の顔面を、思い切り張り飛ばした。

「あんま阿呆なこと言ってないで、とっとと戻るよ!」
「うん…」

 足音高くドアに向かった碧は、何やらぶつぶつ言いながら保健室の外へ出ようとした。所で、ドアのサンに躓く。うあ! 転びかけたところを、円が後ろから抱きとめた。離してやれば、碧がよろよろと壁に倒れ込む。

「円に助けられるなんて、一生の不覚……!」

 全く、碧って時々ドジ。踏み出した円は、そのサンにやはり足を引っ掛けて、こちらは綺麗にこけた。

「全く、円って、いっつもドジ」

 二度目の溜め息をつくと、円に手を伸べる。碧がクスクスと笑った。ほら、行くよ。

「うん」

--

円が今の携帯碧が前の携帯。碧は女の子だぜ。別に碧も運動神経いいわけじゃないんだ。
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