幾許か

消えてしまえ。
消えてしまえ。
消えてしまえ。

あなたがいるから、私はあの子の傍にいられない。

あなたなんて、消えてしまえ。

あなたなんて、あの子のことも知らないくせに。

なのに。
そ、れ、なのに。

どうしてあなたはあの子を侵食するの。
どうしてあなたはあの子にとり憑いているの。
どうしてあなたはあの子を雁字搦めにするの。
捨てることなんて出来ないくせにどうしてあなたはあの子を置いていったの。


あの子はあなたの残像を追って、今でも未だ走り続けています。
止まることなど知らないように、追いかけ続けています。
あなたが、あなたで亡くなったことを知りました。
本当に死んでしまえばよかったのに。

それでもあの子はあなたを追いかけ続けるだろうけれど。

本当に、死んでしまえば、よかったのに。

あの子はあなたを愛しています。
置いていったあなたが好きなんですって。
馬鹿らしくて涙が出てきます。
傍にいたのに。
傍にいるのに。
私のことなんて二の次なんです。
一番はあなたなんです。
馬鹿げてると思います。

そう、思います。

でも、一番馬鹿げているのは、あの子でも、あなたでもなく、そんな関係でもいいんじゃないか、と思っている自分なんでしょう。

あなたなんて、死んでしまえばいい。
私はあの子と生きたいのです。

だけど、あの子を生かすために、あなたは、どうか、生きていて下さい。
私たちの、知り得ないところで。

さようなら。

さ よ う な ら 。