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 カチカチと音が響く。それはパソコンのキーボードをたたく音。マナは疲れた腕をうーんと伸ばして、隣のアユムにちょっかいを出した。目つきのキツいアユムが、マナを見る。怒っているわけではなく、ムカシがそういう顔だっただけだ。
 マナはにぃッと笑うと、パソコンの横に置かれたプリントをコンコン叩く。

「案外、大変だよね」
「んー。つか、生まれる前から死ぬときのこと考えるのがだるい」
「解る」

 「生前記入欄」と書かれた画面を一睨みしたマナは、データを保存して、電源を落とした。

「マナおしまい?」
「いや、終わるわけないって…データ持ってって、部屋でやる」
「いいなあ、パソコン貸与されてる奴は」
「ムカシの行いが良かったからねー」

 椅子を引いて立ち上がる。画面を射抜くように見つめるアユムにひらひらと手を振ると、マナはパソコンルームを後にした。
 壁づたいに歩いて部屋までの道を進むと、壁一面には模造紙程の大きさの紙に印刷された細かい文字の羅列。「出生先一覧」は所謂進路のようなものだ。
 しばらく歩けば、CGルーム、別名、造形ルームが見えた。中では講師が叫んでいる。

「お前ら、しっかりやらないと不細工に生まれるぞ!」

 画面に映る顔が、生まれてからの自分の顔になるのだから、みんな必死だ。

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そんな生前の世界があったら、楽しい。
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