覚悟の付きまとわない恋愛なんて塵みたいなものだわ。

覚悟の付きまとわない恋愛なんて、塵みたいなものだわ。そうでしょう。塵と変わらないのに、大事に大事になんてできっこないわ。少なくとも、私には。

サクラ、お前は覚悟し過ぎだ。鎖をつけていたら、泳げる海でも溺れるだろう。もう少し覚悟の度合いを下げないと、いつか崩壊するぞ。

連鎖反応を食い止めて、その鎖を引きちぎるためにはさ、俺が、消えるしかないんだってば。

そんなことを実行したら、彼女も後を追うから止めてください。この人は、僕より君の方が大切なんだ。

そうだ、やめとけ、テメェが消えたところで連鎖反応は止まるどころかなし崩しだ。中心がお前だってことを自覚してるなら、核であり心臓であるのもお前だと知れ。脳みそに叩き込め。テメェが死んだら俺とサクラは確実に後追い自殺か互殺だ。

アンタに恋したつもりはないの。私はアンタを愛してる。アンタが死ぬなら私も死ぬわよ。アンタのいない世界で生きるのは、サイやサスケくんと二人きりで生きるのと同じくらい辛いのよ。面白みの欠片もないじゃない。彩を喪ってまで生きたくないわ。

絆されてしまいなよ。僕はもう割ととっくに諦めているし、それよりずっと前に、サクラやサスケくんは覚悟してるんだ。サスケくんはサクラに覚悟し過ぎだと言ったけれど、あそこはあそこで似たもの同士だよ。

…俺も、ずっと前に、あきらめたんだってばよ。だって、俺、潰されそうなくらい愛されて、幸せなくらい苦しいから。



潰れるくらい愛されて、覚悟の数だけ苦しくなる。覚悟を決めたその時に、歪な多角関係は始まったのだから、覚悟を取り去ってしまったら、きっと元には戻らないでバラバラになるんだろう。
恋愛に発展したその瞬間から、元への道は閉ざされた。




(それこそ塵みたいだ) 自嘲閉幕。