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 木々のあふれた大きな山が好きだった。春から夏へ青々繁茂する草木、秋の紅葉、冬の情緒ある色を纏わない枯れ木枯れ草、凡てひっくるめて、兎に角山が好きだった。けれどそれらは私の前にそうそう現れるものではなく、それらに触れ合いを求めると、大抵の場合は旅行や、若しくはそれに類した遠出が必要だった。
 獣道を歩いて、分け入って分け入ってずんずんと山を登る。祖父が生きていた頃は、まだ祖父の家に住んでいて、だからしょっちゅう祖父と、父、幼い私の三人で大きく、けれど低い山へと入っていったものだ。
 祖父は決して饒舌ではなく、むしろいつも口を真一文に結び、嫁である祖母には、飯、風呂、酒、寝る、以外口を利かないような頑固な爺様だった。それが一体どういうことか、山に登るとその表情が弛むのだ。柔和とは行かないまでも、普段よりも口角があがり、舌が滑らかになる。父は祖父とは打って変わっていつでも饒舌だったけれど、山に登ると祖父の話に耳を傾け聴き手に回る。そんな二人を見るのも、山に登った時の楽しみの一つだった。


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こんな話も書きたいなあ。
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