コメレス＠涼

「奪って逃げてよ、は本音だよね」
「せめて疑問符つけたら？　違うって否定してもいい？」
「即答じゃないところが既に肯定だよ」
「仕方ないわ。私の手をとって逃げたところで、あの子は途中で手を離すから」
「君が逃げの姿勢だからじゃないかな」
「私はね、サイ。ナルトに大嫌いって言い続けて来たの。今更愛してるなんて言えないわ。好きが限界」
「体の良い言い訳に聞こえるけど」
「なんとでも。私は傍に居るわ」
「誰の？」
「嫉妬もいい加減にしたら？」
「君たちと居ると、新しい感情を次々知るよ。理解するっていう方が正しいかな？」
「アンタの悪いところは、そこで、君たち、って言っちゃうとこね。好きにはなれそうもないわ、到底」
「サクラは？」
「何が？」
「ナルトとサスケ君とカカシ先生と僕」
「サイ、子どもが出来たら、サイコって名前にしましょうか。サイの子どもで、サイコ」
「……サスケー、サクラちゃんとサイの子どもが出来たら俺が育てたほうがいいかな？」
「アァ？　沸いたこと言ってんじゃねえ、つか、なんだそれは」
「いや、だって、サイコはないってばよサクラちゃん……」
「心配しなくても、子どもが生まれたところで、一等好きなのはナルトよ」
「愛情は子どもにそそいであげてくださいってば」
「平等に愛せるほど器用じゃないのよ」
「えぇー……」
「オイウスラトンカチ、テメーは台拭き取りに行ったんじゃねえのか？　とっととしろドベ」
「おーおーブラコンでホモでおまけに亭主関白なんてお前いつ俺に愛想尽かされても文句言えねえからな」
「尽かさねえ癖に」
「死ねバーカ」
「死んだら泣くか？」
「……お母さーん」
「死んだら泣くわよ」
「胸は貸すよ」
「あらありがとう、気持ち悪い」
「サクラちゃんはサイのこと嫌いなんだってば……？」
「まさか」
「オイ、ドベ」
「あーうっせーなもーっサクラちゃん台拭き取ってー」
「はい」
「おら持ってきたってばよ」
「サクラは僕のこと嫌いなんだと思ってたけど」
「まさか。好きじゃないだけよ」
「つまり？」
「好きじゃないだけよ」