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 小さな男の子が倒れていた。三歳くらいの子で、俯せにぱったりと。あかねは制服をはためかせながらその子どもに駆け寄ると、急いで身体を起こしてやった。

「僕、起きて!」

 口元に耳を近づければ、息はある。ゆらゆらと身体を揺すってみたり、ぺたぺたと小さく頬をたたいてみたりしてみるが反応しない身体に息を詰めたあかねは、子どもを抱きかかえると小乃接骨院へ足を向けた。と、子どもを抱きかかえた胸から、んー、とか細い声がする。ばっと顔を向ければ、一瞬眉間に皺を寄せた子どもが、瞼を持ち上げた。

「いたたた……うー……あれ?」
「気がついた? 良かった……」

 あかねが安堵の表情を浮かべる。きょとんとその様子を見ていた子どもは、はた、と何かに気がついたように、一度頭を抑えた手を空中に伸ばしてぐーぱーぐーぱーと開いて閉じてを繰り返した。

「手が痛いの?」

 やはり、東風先生に診てもらった方が良いかも知れない。お医者さんに診てもらおうか? 口を開きかけたあかねを遮るように、子どもが喋り出す。

「あなたが僕を助けて下さったんですか?」
「え……あ、ううん、私は君が倒れていたのを起こしただけ……」

 見かけの割に流暢に、しかも丁寧な言葉遣いをする男の子に面食らったあかねは戸惑ったようにそれだけ吐き出す。質問してきた子どもは、一人、うんうんと首肯し、次いであかねに向かって、微笑んだ。

「僕のターゲットになってもらえませんか?」

天使の標的

「天使ィ?」

 胡散臭さそうな顔をして子どもを見つめるのは、なびき、早雲、パンダもとい玄馬で、かすみとのどかは、先ほどから、可愛い、とにっこりしている。
 あかねが、倒れていたのを連れてきた、という子どもは、この近所では見かけない子だった。あかねの膝の上でおとなしく座る様は人間の幼児そのものであり、連れてきた途端にかすみとのどかのハートを鷲掴みにしたあたりまるで天使のようだが、その実態は本当に天使だという。黒の巻き毛、零れそうな瞳、まあ確かに、天使と言われれば、天使だ。

「どこかから落ちたのかい?」

 半信半疑の早雲が、呟いた。自称天使は首を横に振る。

「落とされるんです」
「落とされる?」
「ターゲットを幸せにしないと、帰れないんです」

 ターゲット、の所で、あかねを見る。

「なんで私なの?」
「イメージとしてはひよこの刷り込みのようなものですが、落とされて気絶して、目が覚めてから初めて見た人をターゲットにするようになってるんです」

※※※

終わんなかった
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